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日々のgdgd日記や、らくがきを描き散らかしている自由度の高いブログ。 擬人化や二次創作が多いので注意!!
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ヒガラン 最後

無駄に長い。
スゲー長い。

+ + + + + + + + + +






確信なんてどこにも無い。
 
ただ、この扉の向こうであいつが今にも泣きそうな顔してるような気がしたんだ。
 
あいつが波動で誰がどこにいるのか感じることが出来るのなら、
 
俺には、あいつ専用のレーダーがついてる。
 
 
 
なによりもきみに 3
 
 
 
へらへらと愛想振りまきながら相手に近づいた後、振り返った視線の先のあいつの顔は、いつもの強気で明るいあいつじゃなくて、今にも泣きそうな顔をしていた。
だから、安心とか、不安とか、恐怖とか、心配とか、そういうのが全部混じって眉を下げてるあいつに、この頭に血が上りきったこの感情を押し殺して、いつもみたいにへらっと笑いかけた。
 
心配すんなって。
 
すぐ終わるから。
 
だから、
 
そんな泣きそうな顔してんじゃねぇよ。って。
 
 
そして、小さく深呼吸をし、手に持っていたプラカードを握りなおす。
 
そのまま思い切り振りかぶって、一番近くにいたリザードを思い切りぶん殴ると、後方にいたそいつは面白いぐらいきれいにぶっ飛んで行った。
 
 
この際だ、今だけは俺のことは棚に上げてやるよ。
 
 
 
――――お前ら、ランにこんな顔させた罪は重いぜ?
 
 
 
「お、お前何してんだ!」
 
突然の俺の行動にあっけに取られていた周りの奴らも、やっと状況を判断したようで、バンギラスの先輩が怒りをあらわにしてなにやら叫んでいるが、それさえも無視し、倒れているランの方へと歩を進める。
 
ゆっくりと歩きながらにやりと口角を上げ、その口元のチャックに手をかける。
 
ずいぶんと前に呪いをかけられたこの口。
決して自分では開かないようになっているチャックが少しずつ開いていく。
本当なら開いていくたびに意識が飛ぶんじゃねぇかってぐらいの激痛も、今は何故か微塵も気ならない。
 
ランの目の前に立つと、まるで信じられないものを見ているかのような表情でオレを見ているから、それが少しおかしくてもう一度あいつに笑った。
そして、ランを背に、目の前の先輩方を真っ直ぐに見据え、完全に開ききった口が小さく息を吸い込む。
 
 
何してんだ?
 
バーカ、とんだ愚問だな。
 
 
「そりゃ、お前・・・
 
恋してるに決まってんだろ!」
 
 
その言葉をきっかけに、一斉にオレに襲い掛かってくる。
 
6対1。
普通に考えりゃ圧倒的不利な状況も、なんでだろうな、まったく負ける気がしねぇ。
 
後ろにいるランに素早く技をかけ、向かってくる奴らも気にせず走り込んで特大のシャドーボールを投げつける。
ご丁寧に先輩はランの苦手なタイプばかり集めて下さったようだが、残念なことにオレ相手にはまったくの好都合なことこの上ない。
さて、この一撃でどのくらい減ったかな。と土ぼこりを眺めていると、その中から技の弾幕が放たれる。
 
「おっと。」
 
一応さすがは先輩と言うべきか、土煙の中から先輩方がオレをボコボコにしてやろうと躍起になって四方から飛び掛ってくる。
弾幕と攻撃を難なくかわし、ついでにあたりの奴らを順番にのしていく。
 
普段、化け物みてぇに強いジュンさんたちや、三つ子ん家の奴らに鍛えられてんだ、そう簡単にやられやしねぇ。
というか、あいつらに比べる方が間違ってる。
まぁ、今回ばかりはあのシスコン兄貴とバカ兄弟に感謝してやろう。
 
なんて思いながらフーディンの懐に入り込んで悪の波動を零距離で打ち込む。
効果は抜群。
ぐらりと倒れこむ体は俺をすり抜けてそのまま地面にダイブした。
 
「さてと・・・。」
 
手を払いながらあたりを見渡す。
周りには死屍累々の先輩方と、薄暗い倉庫に立っているオレとバンギラスの先輩。
 
「で、あとは先輩だけですけど、どうします?まぁ、どうするって言ってもオレ的にはあんまりあんた許すつもりはなんだけどね。」
「てめぇ・・・その言葉、そっくりお前に返してやるよ!」
 
そうバンギラスの先輩が叫んだとたん、目の前が砂色に染まる。
激しい砂嵐に思わず目をつぶると、腹部に思い衝撃が伝わり、オレはそのまま後ろに吹っ飛ばされた。
吹き飛んだおかげで砂嵐から出てこれたが、代わりにサッカーボールぐらいある岩石が高速でオレに向かって飛んでくる。
反射的に飛んで避けるが、そのうちのひとつが抜き遅れた右足に直撃した。
 
「いってぇぇ!ってか、なんで・・・!」
 
いやいや、おかしい。
ゴーストであるオレには物理攻撃は効かないはずだ。
固体のものはほとんど俺の体を通り過ぎるだけで、ましてやその典型的ともいえる岩なんてオレに当たるわけがないんだ。
ないはずなのに、今飛んできた岩は確実にオレにダメージを与えやがった。
 
治まりつつある砂嵐の先に嫌な予感がし、背中につめたい汗が流れる。
 
「へぇ、お前、俺の攻撃当たるんだなぁ。もしくは、なんかこいつが関係あるのか?」
 
なんで嫌な予感というのは当たるんだ。
目の前の最悪な状況に頭を抱えたくなる。
 
砂嵐が治まった先には、不敵に笑うバンギラスの先輩と、その先輩に捕まってるランの姿。
 
ランにはなんでかゴーストタイプに触れる力がある。
あらかたそれがランに触れてるバンギラスの先輩にも適応されたとかそんなんだろうな、きっと。
ランはまだ金縛りの効果が残っているのか、ずいぶんと大人しく捕まっているが、攻撃をくらったオレの姿を見て青い顔をして唇を噛み締めている。(見てるこっちがいてーよバカ。)
あらかた、私のせいでとか思ってんだろう?
だったら始めから危ないことには首を突っ込むなって言いたいけど、あいにく今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ。
 
まったく、これだけは使いたくなかったんだけどしょうがねー。
 
「・・・いやー、やっぱ先輩強いっすわ。攻撃当たるようになっちまったら俺の勝ち目なんてねーもん。」
「は?」
「そもそもね、オレ先輩にはそれなりに同情はしてるんですよ?まぁ、カゲチカをカツアゲしようとしたのはいただけねーけど、それにしたって割に合わねー制裁受けてるわけだし?後輩の女にフルボッコにされましたーなんて男のプライドとして許されるわけねーし。」
 
突然両手挙げて、ぺらぺらと喋りながら降参のポーズをしだす俺に、先輩がいぶかしげな顔をする。
 
当たり前だ、こんなのはただの時間稼ぎ。
無理やり教えてもらった技な上に、相手の少し前の技を探らなきゃいけないから時間もかかる。
でも、そろそろお喋りもここまでだ。
一瞬目を閉じ、さらに意識を集中させる。
 
「でもねぇ、先輩。ラン泣かすのだけは、許されねぇんですわ。・・・・さっさとオレのランからその薄汚い手離せバカ野郎。」
「なんだと!」
 
バンギラスの先輩から再びさっきの倍以上飛んでくる岩石は、何個かオレの体をかすっていく。
それをなんとか避けながら自分の手のひらに集中し、向かい合わせた手のひらに青い弾道を作り出していく。
 
「お、おい!なんでお前がその技・・・!」
 
バンギラスの先輩もこの青い弾道に見覚えがあるのか、それがオレの手から形成されていることに驚いているようだ。
まぁ、一番驚いてるのはそのバンギラスに捕まってるランなんだけど。
 
「珍しいでしょ?これねー、「ものまね」って技なんですよ。人の技をコピーできる技。便利でしょ?だってねぇ、普通に戦ったらオレの技であんたに勝つのは骨が折れそうだし。本当はランが一番お前にこれぶち込みたいだろうけどそれも無理そうだから・・・」
 
相手から距離を置いて、さらに手のひらに力を込める。
慣れない技と特殊な力のせいか、体が軋む感覚がする。
踏ん張っている右足が痛む。
 
「つーわけで、ラン!ちょっとお前の波動弾借りるぞ!」
 
オレの技がはったりじゃないことが分かった先輩は焦ったようにランを自分の前に出す。
 
「お、おい!いいのか!ここでそれ撃ったら、こいつまでまき添いになるんだぞ!?」
「そうだなぁ、普通に考えたらランにも当たるわなぁ。でも・・・」
 
横に抱え込んでいた弾道を思い切りバンギラスの先輩に向けて放つ。
 
「や、やめっ!」
「波動弾!!!」
 
瞬間、青い光が弾けて、それが治まるとそこにはぶっ倒れて先頭不能状態のバンギラスの先輩と、その横でへたり込んでいるランがいた。
 
「バーカ、ランには一番初めに「守る」かけといたんだよ。」
 
ま、その言葉は先輩には届いてないだろうけどな。
 
 
* * *
 
 
「さてと。」
 
倒れているバンギラスの先輩を一瞥し、
隣でまだへたり込んでいるランに、「帰るぞ」と言いかけて、その言葉を飲み込んだ。
 
ランは、
 
悲しそうな、怒ったような、さっき昼休みに見たあの顔によく似ていた。
 
 
―――バァカ!お前もおしとやかにしとけばもう少しは可愛げもあったかもしんねーのによー!どこでどうこんな暴力お節介女になっちまったんだろうな!そんなんじゃ一生厄介事に巻き込まれていつか痛い目見るぞ。)
 
 
不意に、さっきまで忘れていた昼休みの会話を思い出す。
 
まったくしょうもねー奴はオレのほうじゃねーか。
言いたかったことは本当はこんなことじゃなかったんだ。
なんにも言葉が足りてない。
 
「・・・ラン、さっきはごめん。」
 
逸らされた顔が、一瞬震える。
 
「でも、別にお前がそういう性分なのは知ってるし、俺も言いすぎたけど、でも、やっぱオレはお前がこういう目に遭ったりするのは嫌だ。」
 
ばつが悪そうに、でもちゃんとランの方を見て言うと、自然と視線がぶつかる。
 
「それは・・」
「えっ。」
「それは、さっき言ってくれたことと関係あるの?」
「へ、さっき・・・」
「恋してるって、私に?」
 
とたんに、さっき自分が言ったことを思い出して顔に熱が集まる。
ああ、そうだった。テンションって怖い。
スゲー怖い。
というか、何を叫んだ?何を言った俺は!?
 
少々パニクってる思考を何とか落ち着かせ、ランから顔をそらそうとするが、何を思ったのかランは両手でオレの顔を挟み、無理やり顔を合わせるからますますオレの思考が停止状態になる。(そのくせに自分は俯いてるなんて卑怯だ。)
 
「ラララ、ラン?」
「ヒガタ。」
「は、はい。」
 
ランが、顔を上げてオレの顔を真っ直ぐと見据える。
 
「バーカ。」
 
そう一言だけ言ったランの顔は少し赤くて、でも、それはいつものランの顔で。
その笑顔に安心して、少しぐらい脈はあるのかとか思ったら、バカみたいに嬉しくなって、思わず緩む口元を押さえた。
 
「一世一代の告白をバカとはなんだ、バカ。」
 
それでも、余裕そうなランに精一杯意地はって、そう軽口のように返すと、ランはまた笑った。
 
「さてと・・・帰るか。」
「うん。」
 
動けないランを背中に乗せて歩く。
負傷した右足には優しくはないが、それでも背中のぬくもりが心地いい。
 
「ねぇ、ヒガタ。」
「なんだよ。」
「ありがと。」
「・・・どーいたしまして。」
 
 
きっとこの先、こいつがこの性格が変わんねぇかぎりこういうこともあんだろう。
で、相変わらず、俺はランの起こす厄介ごととは縁が切れないんだろう。
 
それでも、きっとまたオレもそれに自ら巻き込まれていく。
 
まぁ、なんだ、つまるところオレは
 
 
 
なによりも君に恋してるんだ。
 
 
 
***************
 
終わったー。
gdgdすぎて泣けるorz
 
こういう2人の関係が好きです。
友達以上恋人未満でも両想い、みたいな。
 
ここまで読んでくだっさってありがとうございました。
 
 
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